推薦のことば
造園家にお勧め・・・一色で飾れる・・・「さくらさくら」


「売っている花だけでお庭を飾るの・・・飽きました。品種改良って・・・私にもできますか?」と、杉井明美さんが言いだしたのは、かれこれ10年前のことである。「丈夫で長もち・・・日本にあう普段使いの花が欲しい。」とも言っていた。
 薄謝の千葉大学非常勤講師を頼んだお礼に育種指南が始まった。育種は捨てることである。そして僅かを選ぶ技術である。が・・・彼女の選ぶものは常軌を逸していた。何回も意見が衝突し、頑固な弟子に私は手を焼くことになったのである。
「暗くなると花が閉じるような株を選ぶバカがいるか。輸送中に花が閉じては売れないだろう!」と私は怒った。だが彼女は「この株は雨が降る前に花を閉じる・・・だから傷まない。」と言い張る。庭作りの素材を目指す彼女は、まさに花の育種のカテゴリーキラー(既存概念の破壊者)となった。
杉井明美の第一作品「さくらさくら」は傑作である。あの優しい色に似合わず、史上最強のペチュニアと評判である。酷暑にも平気で咲き続ける。寒さにも強く、根が張れば札幌でも越冬する。刈り込み自由。手間はいらない。花がらが自然に落ちる野放しペチュニア。作品は作者に似てくるもののようだ。

造園家にお勧め・・・一色で飾れる・・・「さくらさくら」。

千葉大学園芸学部 教授 安藤敏夫




緑花用ペチュニア「さくらさくら」激賞


 園芸研究科の杉井明美さんが、「都市に花を」の小生の盟友でもある千葉大学の安藤敏夫教授の技術指導の下、ようやく大面積の緑化空間で使えるペチュニア「さくらさくら」を育種開発した。
 これはもう園芸用草花のペチュニアではなく、立派なグラウンドカバープランツである。ペチュニアも緑花用として本当に進化したなという実感を覚える。
 多くの空間の緑化あるいはデザインを手がけてきた杉井さんが、こんな花材料を使ってみたいというものを自ら開発した。この点が何とも良い。
 丈夫で開花期間も長く、維持管理も容易であるなどの性状はもちろんのこと、群植した花の色合がぼかしの桜色となり、何とも日本的で、風雅な感じを醸す。これがまた最高。
 とにかく、さまざまな都市空間で使って欲しい。

「さくらさくら命」
東京農業大学造園科学科 都市緑化技術研究室     
教授 近藤三雄